昨年夏にスタートした新築住宅の引き渡しが先月無事に完了致しました。
この建物は静岡県産材を使い手刻みで建てさせて頂きました。プレカットとの違いをざっくり言うと、大工が建物を構成する全ての材に目を通し、材の性質をふまえ適材適所に配置し継ぎ手や仕口を加工していく点です。そのためプレカットよりコストは上がります。しかし一つ一つの構造の全てに大工が責任を持って仕事をします。昔から建前の前の晩は不安で眠れないとよく話題にありました。最近では構造はプレカット屋、間違いがあればプレカット工場から作業員が直しにくる。そのため大工が構造に責任を持つことが少なくなりました。その弊害は職人の知識や技能の低下として少しづつ現れているのではないかと思っています。社会状況からみても短期的な利益を取らざるを得ないことも重々分かります。それでも今回のように職人の手仕事に興味と理解を持ってくれる施主は本当にありがたいです。このような応援してくれる人たちに報いるためにも技術や建築文化の継承のため、少しでも多く職人の手仕事を続けて行きたいと思っています。